バシラン島の異国情緒溢れる美しい景色を短時間で堪能し、長居は無用とさっさと次の船で帰ろうとした丁度そのときだった・・・現地の情報を持つ女子大生が、「バシランに従兄弟のハトコの親戚の友人が見つかったんだけどどうする?」って話になったのだ。
(港からバシラン市内を望む)
偶然行った場所で知り合いが見つかるってのも誠にインチキ臭い話だが、割とこういう技は日ごろから使っていて、以前西の海の秘境を徘徊した時も土壇場で知人の知人を探った。
ラナオ湖でもそういう展開を望んでいたが、あそこは流石に無理だった。フィリピン人同士のネットワークはウェブ網並みに発達しており、例えば30分後に秘境に行くとしても割と高確率でガイドが見つかる。
なぜ、我々が事前にそういう準備をしなかったかだが、情報ってのは必ず拡がるものなので、怪しい場所に行く時に予定なんて立てない方がいい。
別に無理に人と会わなくたっていいんだから。
だったら、リスクを冒してまで人の家に行く必要は全くないんだけど、あのとき極限まで腹が減っていて(レストランが無い) 豊富な魚介類を今すぐ焼いて食いたという衝動が抑えられなかった。
(サメの刺身はモチモチして意外とうまい)
そういう訳で、今回は人づてに携帯番号を入手した顔も住所も性格も知らない人なので、怪しい場所で合うのは避け雰囲気悪かったら即効で港へ戻る気でいた。
当初なかなか相手に連絡が付かなくサンボアンガへ戻る為に船着場へ向かっていたが、着信を見た相手から病院で会えると連絡が入ったのが船着場の窓口。そこからトライシクルでUターンして街中の病院へ向かったのだった。
(バシラン病院)
案内人はなぜかこの病院で治療を受けており(謎)点滴を受けている最中だった。
割と人の良さそうなオバサンだったので、船便を遅らせて寄らせてもらうことに。(よくある診察料を貸してくれとかは無かったです)
飯はサンボアンガに戻ってチョウキンで喰う予定でいたが、バシランで蟹とか海老を食って帰りたい!
これは現地入りしてからの展開である。我々は案内人無し、現地情報無しの素腰で入島しており、最初から知り合いが待っていたとかそういうのでは無いのである。
しかし、ここからが死ぬほど大変な思いをする。この主婦の家に寄らせて貰うとかそんな甘いもんじゃ済まなかった。
その人の家ってのが、バシラン島の内陸部のジャングルの中にあり、隣人の家が実に数キロ先という。想像を絶する(ちょっとオーバー)秘境だったのである。(フィリピンのどんな田舎でも通常隣人の一人くらいはいるもの
私は事前に下調べなど一切しなかったので、島の規模も知らずにいた。どうせ小さいだろうと鷹をくくっていたが実は大きな島だった。
フィリピンで多くの方が経験していると思うが、フィリピン人が「近いから大丈夫、大丈夫」と言うので行ってみると、実際は気が遠くなるほど遠い事ってあるでしょう? あれに今回は引っかかったよ。
戻りたくても戻れなくなってしまった。
(坂の多いイザベラの街)
最初、見るからに怪しいバスに乗ったが、昔の洋画に出そうなメルヘンなバスで、車掌の顔もなんだか異国的で面白かった。客も本土とは明らかに違う気がした。
内陸部の民族比率は原住民チャバカノ族とモスレムが半々か・・・
それからトライシクルに乗り換え更に内陸部へ
ここで降ろされた。着いたのか!?
いや、ここは序の口だった。
これから徒歩で延々歩く事になる。
野を超え
山を越え
幾つものジャングルを抜けてゆく・・
まだ歩くのかと来た事を心から後悔する・・・
(私が置いて行かれているのが分かるでしょうか?爆)
もう途中まで来た段階で人生あきらめ掛けた・・・
あの奥の山までまさか行かないだろう・・・
と思ったら、さっきの山のふもとまで・・・
それから、あの山の麓に達した頃だろうか、バウバウと犬の鳴き声が聞こえ始めた。
やったー、これは民家が近い!
それから少し行くと、謎の荷車が置いてあるジャングルの中の一軒家にたどり着いた・・・
やったぁー腹減ったぁ・・・
よーし、ここが山賊の家かぁ!
魚介類で山賊鍋を作って貰うぞー!・・と肩の荷物を降ろしながらふと、民家に目をやった訳。
すると・・・
なんか、山小屋の階段で美少女が微笑んでこっちを見てるw
あまりにも過酷な道中の後のこの清涼感…山賊が出そうな山小屋(いや、実際ここは政府認定の山賊区域)に掃き溜めに鶴を見つけたような感覚だった。
な、なんという事でしょう!話してみると25歳で未婚で彼氏無し。フィリピンだとあり得ない。
でもね、この子が貞操を保ち続けていると確信を持ったのはさっきの道だ。これじゃ彼氏がいたとして簡単這って来れない。途中で山賊に襲われるよ。
この子とどうこうという話ではありません。単にあれだけ疲れてやっと辿り着いて、山賊に襲われるシーンまでシュミレーションま描いていたので最後の最後に山賊の館でお目見えした美少女の意外性に驚いたって事ですw
もうこの子に合うのは二度と不可能でしょう。
オヤジさんは山賊っぽい赤ら顔の大男(まぁニッコリしてはいるが怖かった)
でも夜は安心だったしフィリピン的に変な訪問客が尋ねて来る様な事も無かった。ただ、仮に何者かに襲撃されたとしても100年遺骨さえ見つからない様な場所なので、その辺の危険地区やスラム街なんかでは味わえない恐怖感がある。
でもまぁ、こういった恐怖感は最初だけで、どんな場所でも住んでいる内に感覚が麻痺して徐々に極楽だと感じて来るものだ。
(ここから東に10キロ歩けば世にも美しい海岸があるそうだ。行かなかったが)
そう言う訳で一応終わりです。
ユーチューブその5
記事の動画版ですけど、バスの隣の席でうつろな目線で女子を見る少年とか、バカみたいに遠い道のりとか、山小屋の少女?の動画も少し入ってますので是非見てください。