突発的な美化運動に振り回されている。
まず、私の農園のある村では、規則で自分の敷地の周りに着色した石を並べなければならなくなった。ガタガタで舗装もされていない年中鉄砲水が出るような道路わきに石をひたすら並べなければならないのだ。
ここが農園の前の鉄砲水が沸く悪路
それも全ての石に着色して置けと言う。
普通の住宅の人はいいだろうが、農地だと非常に広範囲だ。お地蔵さんの頭ほどの石を無数に探してきて、それに一個一個着色して端から端まで
置かなければならない。そして出来れば置いた石の内側に花を植えなさいと・・凄い手間だ。
余程の暇人でも無い限りそんな事は出来ない。
と思ったけど、村を通りがかったらうち以外の世帯の殆どに着色石が置いてあるんだよね。これはどうやってもやれという事か・・
それだけではなかった。
各家庭に美化の担当と名乗る行政の人がやって来て、ゴミの分別を指示し始めたのだ。
ゴミの捨てる場所を一箇所に決めなさい。そして分別しなさい。これは分かる。日本人だからゴミはちゃんと捨てている。しかし農園は古来から住民の通路になっていて近所の住民がゴミを捨てながら歩くのが一般的。
子どもなんて私が見ている目の前でポィっと投げ捨てるくらいいい加減だ。目の前にゴミ箱があっても誰も使わない。
そこまでやるなら町内会で掃除しに来てくれるか、先に住民の道徳意識を高めてからにして頂かないと。
それが出来ないのなら現在のフィリピンスタイルのままでそっとしておいて欲しい・・・
まぁここまでは問題ない。ゴミを綺麗にしろという「先進国」ならごく当たり前のことを彼らは言っているだけだから。
ここから更に難題を押し付けて来る。
なんと、全世帯の庭にオブジェをあしらった箱庭みたいなものを作れと言うのだ。
(現地ではランブルと呼ばれている交差点や学校に設置してある飾り物の事だが、分かり難いので箱庭と呼ばせてもらう)
庭の一部に古墳みたいな土盛りをして上に何か飾り物を置かねばならないのだ。
マジかw
買い物へ行く途中に他所の庭を見てみたら、謎の物体が殆どの世帯に設置してある。やはり本気なのか・・
農園の掃除の徹底、そして外部にペイントした石を陳列し草木を植える。加えて外部から全く見えない農園の中心に箱庭を作る・・・
自分のところの水路問題も解決していないというのに、無意味な石を拾っている時間なんて無い訳だがw(水路の修繕に必要な大量の石が調達できずに困っているというのに)
ここは裕福な先進国ではない。山では山賊が生活のために人を襲い、住民の多くが貧しくて子どものミルクも買えずにいる所である。
先日の子どもの工作の件もそうだけど、日頃、高級車の車窓からしか村を見てないような感覚の人が、金の無い町民に生産性の無い行動をさせようとする。
町を美化しようという考えは素晴らしいんだが、まず足元の教育に力を入れる事が先。個人的な趣味の入ったような美化運動は役人様の高級車を売ったお金とかでやって欲しいよね。
まぁフィリピンなので、いずれ飽きて無くなるのだろうとは思うが、また係員が見回りに来るらしいので、「とりあえず取り掛かっています」みたいなアクションを取ってはいる。