私の自宅横は現在倉庫になっているが、そこに米俵を置いてブルーシートを掛けて管理している。
そのブルーシートの下が最近野良犬の格好の住処になってしまっている。野良犬といっても時々残飯を与えている様子なので半野良犬かもしれない。当然名前なんて無い。
彼らは一日の大半をマーケットなどの屋外で過ごし、夜中になってくると何故かそこに帰ってくる。糞もそこでする。
私の周辺の人間は大の犬好きで、野良犬やら飼い犬や近所の犬までが散在し犬屋敷の様相だった。まぁ犬が多ければ泥棒除けにもなるメリットもあるが、野生犬がうろうろするのは危険だし、煩すぎるので、数を減らしてくれと前々から言ってた。
野良犬は色んな病気を持っているのはもちろん、万が一噛まれでもしたら大事だ。
一昨日の夜中、寝室に移動しようと外に出たんだよね。そして米俵の前を通って部屋に入ろうとした。
ブルーシートが盛り上っている気がしたが、暗くて見えないので、そのまま踏んで通ったのだ。
そこに野良犬がいた。
ギャイ~ン!!
かぷ!
噛まれた。
いや、もしかしたら噛まれてないかもしれないと思った。
でも見てみると牙の跡があったんだよね。
押すと血が滲んで来る・・・
やられた・・・・
フィリピンに詳しい人はこの国の犬の恐ろしさをご存知だろう。おそらく統計とるのが恐ろしくなるくらい狂犬病の死者がいる国なのだ。過去には日本人の死者もいる。
致死率100%の世界最強の感染症。それが狂犬病。
狂犬病じゃなくても、野生の犬に噛まれたら高確率で感染症を起こすと思ってよい。野良犬は病原菌の宝庫なのである。
だからフィリピンでは絶対野良犬に近づいてはいけない・・・
でも、まさか自宅で噛まれてしまうとは・・・
これはヤバイと思い、すぐさまアルコールを探し出してしつこく消毒したが、狂犬病の3文字が頭から離れない。
病院で暴露後ワクチン打ちたいが夜中の1時・・
(噛まれた後に打つワクチンがあるのだ。日本で接種するのは噛まれる前のワクチンね)
その日は枕を濡らしながら床に就いたのだった・・・
翌日早朝、近所の病院へ行くと、どこぞにある国立の病院を勧められる。そこに狂犬病外来があるらしい・・
早速、国立病院を訪ねると立派な犬噛み外来があった。
まず、救急外来で傷を見てもらい処方箋を書いてもらう。
必要なワクチンは4種類だった。
ドクターが何か言ってる。何!?犬に噛まれた場合は治療費が無料!?(英語なので3割くらいしか理解できないが)
えっ!?そ、それはお得な話!スグに薬を打ってください!
と言うと、今日は在庫が無いので来週になるとか火曜に入るとか・・・うわ、それじゃ遅すぎて狂犬病になっちゃうよ!
犬に噛まれる人が大変多いらしく、ワクチンが足りないのだそうだ。
仕方が無いので、処方箋をマーキュリードラッグに持ち込んでワクチンを購入することにした。
が、薬局の窓口で値段を聞いて驚く。
なんと、ワクチンは7000ペソもする!日本円で14000円!!
もしもと思って持って来た虎の子の全財産差し出しましたw
これが超高価なワクチン。
早速犬噛み外来のセンセーに注射してもらう。
最初はアレルギーテストらしく、少量を注射して様子を見るのだった。
なんか、非常に手馴れている感じがして安心して任せた。
犬に噛まれた患者が沢山
私の後ろに犬に噛まれた患者が次から次に!
この少年はいきなりここを噛まれたんだそう・・イタタ・・
次の少年はここ。暴れ馬のように襲ってきた犬に足を噛まれたんだそう・・・怖すぎる・・・
それからも犬に噛まれた患者が次から次に入ってきた。おいおいゲリラよりも山賊よりもよっぽど恐ろしいぞ!!
狂犬病と知らずに死んでいく人も多いと思うし、親に報告しない子どもだっているだろう。こりゃ潜在的な患者数はとんでもない数だぜ・・・
感染前の予防接種じゃないんだよ。噛まれた後の人が大挙して押し寄せてるんだよ。
さて、治療のインプレッション。
最初はアレルギーチェックから。思いっきりアレルギー性鼻炎と慢性蕁麻疹で長年悩んでいる私だったが、薬にだけは強いらしくアレルギー反応は問題なし。
臀部を出すように言われたので、はずかしめもなく、まるで浣腸の様な巨大な注射を打って貰った(最初の一本は巨大らしい)
かなり強い薬らしく、打った後は何だか気分が悪く、のどの渇きとめまいと耳鳴りが襲ってきた。
あと、4回も通院しなきゃならんらしい・・・・
結構大変だコレは・・
過酷なワクチン接種自体が死亡リスクが高いってオチは無いだろうな。
噛んだ犬は出来れば10日くらいは殺さずに生かして様子を見てくれと言われた。犬の発症状況を確かめる為だそうだ。その時点で犬が発症していなければ、これから何回も続くワクチン接種を終了する事も出来るらしい・・・
でも、犬が戻って来ないんですけど(爆)
(大体人間を噛むような犬は高確率で狂犬病である)
しかし、こんなに高価だと貧しい人はワクチンを買えないだろう・・・だから行列に並んででも無料制度を利用するしかない。
また、そういう無料の恩恵にも与れない交通事情の悪い地域の人だっている。そういった人たちは犬に噛まれた時に駆け込む治療院みたいな所を利用するらしいが・・・(私も始めはそこを勧められた訳だが)
狂犬病は始めの消毒が肝心らしく、切り開いて消毒するのだとかなんとか・・ちょっと民間療法っぽくて怖いので遠慮したが、そういう施設はあちらこちらにあり利用する人も多いそう・・・(でも死ぬ人も多い気がする)
噛んだ犬が必ずしも狂犬病の訳ではないが、もしもの致死率を考えると、新型インフルとかエボラ出血熱以上の恐怖感を味わえる。潜伏期間が長いから、例えば噛まれてず~っと症状が出なくても、その後思い出したように発症する事もあるらしいよ。怖いよね。
私の周りの人たちも病院の話やら被害者の話なんかを間接的に聞いて怖くなったらしく、犬を減らす方針。そりゃ狂犬病の犬がゾンビの様にウヨウヨしてるんだから、敷地内で飼うか、繋いで飼わなきゃ駄目だよね。
日ごろから一番注意している人間が一番に噛まれるようになってる社会の仕組みw
もし、フィリピンで野良犬に噛まれた人は、その犬が病気であろうと無かろうとワクチン接種するのが常識。飼い犬だから安全だとも言い切れない。フィリピンだから。
近所のサリサリでアルコールを購入して速攻消毒した後に病院へ行こう。
国立病院へ行けばワクチンに在庫があれば無料で打ってもらえる。
消毒だけでも格段に感染リスク低くなる。
以上