採油機のつづき×5、改良編
このシリンダーは重すぎた。幾らなんでも大型トラックのシリンダーはオーバースペックだった。ただでさえ重い上、油でつるつる滑って作業がし難いったらありゃしない・・
この前、とある読者様から1mmのパンチングメタル(中華ショップで高くて諦めた形状)のシリンダーを使って作ったとの情報を頂いたので、改良版はそれに近い薄い円柱形のものを探して作ることにした・・・
・・のだが、そう都合の良いものが見つかる訳も無かった。鉄板にドリルで500個の穴を開けて丸めて作ろうかな(無理)
とにかく軽快に絞れなきゃ誰も手を出さないから、結局宝の持ち腐れって事になるので、女の子でも作業できるくらい軽くしなきゃ・・・とにかくシリンダーの改良を・・
実は、その読者様から情報を得た時点で脳内青写真を根本的に描き換えようかと迷ったのだが、大型トラックのシリンダーを既に入手済みだったし、幾ら円柱形が強いっていっても、手で曲がるようなシリンダーが20トンのジャッキに耐えるとか素人には想像できなかったので、大は小を兼ねる屁理屈で見た目に無難な分厚いシリンダーを選んでおいたのである。
結果、重すぎて操作し辛く、穴あけ代も無駄になった訳だけど、まぁ、いろいろ勉強になったし一応油も出て料理も出来たのでOKとする。
円柱形という形は素人に想像できないほど強かった。世の中の土管とかトンネルとか潜水艦だとか、強度が必要なものがこぞって円柱形である。シリンダーの厚みを神経質に気にする必要は無かったのである。
それよりむしろ、シリンダーの蓋の強度を上げる必要があった。蓋の直径はわずか13cm。私は7mmも厚みがあれば充分ジャッキに耐えると思っていたが、いとも簡単に
曲がってしまった。ここにもう一枚補強入れなきゃ持たない。(ジャッキの頭にチャンネルバーを切って張る)
そんな訳で、街中と隣町の雑貨屋全軒を回ってシリンダーの素材を探しまくったのだった・・・
そうしているうち、とある店で用途不明のスリック板を見つけた。微妙にRが掛かっている鋼板で板厚は僅か0.8ミリ程だが、3枚繋げば円形っぽくなりそうな感じの物体。パッと見そう思っただけなので加工できる確信は全く無かったけど、手ぶらで帰るのもなんなので、一個110ペソのスリックを3枚買って帰った。
また、無駄なものを買ってしまったかなと思いながら、円形のシリンダーの上に置いてハンマーで叩いて板金すると、何となく円に近づいた気がする!?・・・
もしかして、ガス溶接でこれをくっ付けて成型すればシリンダー代わりになるんじゅなかろうかと、駄目もとでガス溶接屋に持って行ってくっ付けて貰ったのだった・・・工賃は450ペソだって(高い)
オムスビっぽいシリンダーが出来上がったので、もう一度自宅へ持ち帰って木枠に挟んで成型を試みた。そうしているうち、なんとなく綺麗な円柱形に近づいてきた。
試しにこの前作った大型トラックのシリンダーと径を比べると、シリンダー同士の外形と内径が寸分の狂いも無く一致。
早速不要になったシリンダーを容赦なくリング型にぶち切って、試しにスリットシリンダーに叩き込んでみると、いびつな円柱が見事に成型され、叩き込んだリングがそのまんま円柱の出口と入り口の補強に利用できた。神!
なんという事だろう。まるで私の搾油機を作るために売られていた様な物体だ。
これでシリンダーは完成。
ちょっと長すぎるけど、あまりにも綺麗に出来すぎてスリット板のマチを切り落とすのが勿体無いので、ピストンのストロークを測ってみて問題があれば仕方なく切る。
次は本体の改良を若干・・
クソ重いジャッキを簡単に移動できるように、レールを敷いてみた・・・
こんな感じにシュミレーションしてみたら二人掛かりだったものが、なんと1人でも着脱可能に。アングルを二本繋げただけだがとても良い感じ。
さて早速試運転・・
生憎、新鮮な果実が無かったので古めの果実でテスト・・・
おぉ・・
これはいいぞ!
スリットがいい具合に果実の繊維を防御して油がどんどん染み出てくる!もう勘弁してくれとばかりにオイルが流れてくる。
円の穴だと小さい穴からも繊維がウ〇チの様に出て来てしまっていたが、スリットだと油と果肉しか出てこない。おまけに目詰まりしないから廃フルーツを排出し易く掃除も簡単。
偶然とはいえ、なんていい素材を発見したんだろう。歩き回って良かった。作業速度も2倍になった(前回比)
薄い円柱スリットの耐久性が気になっていたが、数回テストして歪んだ様子も見られないので、やはり円柱形の構造的な強さを知らされた感じだ。
次はいよいよ本番搾油です。
一日一語、覚えやすい現地語講座
マイノム (My飲む) = 「飲む♪」
例 : マイノム カ? = 飲む か?
マイノム カ コーラ? = コーラ 飲む か?
※「マイ」を付けなくても一応通じるので「飲むか?」が同じ意味のまま現地で通じてしまうのが面白い。イロンゴ族が知人にいたらジュースを手に持って語り掛けてみて。ノムカ?って・・
ワタシは他の外国人達に比べると現地語の上達は著しく遅れている方(恥ずかしいけど)グループ内で会話する事が殆どなので会話が上達しないのである。
仲間内は私を日本人だって分かってるから未だに赤ちゃん言葉ばかり使って話しかけて来る(爆)面倒だからとそれに長年甘んじている自分も悪いのだが。日本語話せる人がいない環境に住んでおきながら自分ほど上達が遅い人間はそういないだろう・・・